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[同人音楽] 購入物感想・2007年冬の肉欲祭編1
 いったいいつ以来のCD感想記事になるんだろう……と思って調べてみたらなんと4か月ぶりでした。ひいいいいい。もうちょっと、もうちょっとなんですよ!(何が

 そしてやっと復活したかと思いきや、今回の感想はこれ一枚だけです。ごめんなさい。でもこれだけは早いうちに書いておきたかったんです。

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さびしんぼう。
(オリジナルマキシシングル・ウサギキノコ

 昨日買ったばかりですが、早速感想意欲に溢れてしまったので速攻で書き上げてしまいました。ただ内容が内容なので、念のため続きは隠しておきます。まだ聴いていない人は絶対に見ないでくださいね!




-----以下ネタバレ-----


 「さびしんぼう。」は茶太さん主催の個人サークル「ウサギキノコ」の4枚目の作品となるマキシシングル。ボーカル入り3曲にカラオケ2曲の全5トラックで、Tr.02はネット上で公開中の「ねんまつのうた」のアレンジバージョン。そしてTr.03は演出上の関係でタイトルなし・歌詞掲載なしの半隠しトラック扱い(Tr.01の別バージョン)となっています。

 委託で手に入る前から評判がプチ良かったので期待していましたが、はっきりいって期待以上の作品でした。きっとファン補正も少なからず入っていますが、本当に素晴らしかったです。告知が遅かったこともあって、もっとその場の勢いで作ったCDなのかなぁ、と思っていたら、これがどうしてなかなか考えられた作品でした。

 曲の良さもさることながら、私が何より感心し高く評価しているのはその構成の巧みさです。茶太さんのクリエイターとしての実力が確実に上がっているように感じられて、それが何より嬉しくてなりません。前作の「たぶん青春」からその萌芽は見られましたが、今回わずか3曲のシングルにここまでの物語性を持たせたのは脱帽です。……というと大半の方はTr.03にまつわる演出(Tr.01との対比、隠蔽系の演出)を思い浮かべると思いますが、私が本当に素晴らしいと感じたのは――もちろんTr.03にはベッコリやられましたが――どちらかというとTr.02「ねんまつのうた」の扱いです。

 ネタバレゾーンなので遠慮なく言ってしまいますが、Tr.01がねことの出会いを歌ったトラックならば、Tr.03はねことの悲しい別れを歌ったトラックです。この二つのトラックはともに同じメロディを利用しているのにもかかわらず、アレンジの方向性や歌詞の雰囲気と内容で真逆をいっているため、そのギャップで余計にTr.03の破壊力が高まっています。この演出・構成は確かに素晴らしい効果を挙げていますが、そこまでならちょっと聡い演出家の方なら十分に思いつく範疇でしょう。しかし、このCDはその間に「ねんまつのうた」を挟んだ。それが非凡なのです。

 人を悲しませる物語を描くにはどうしたら良いのか。その方法は数多くありますが、そのどれもに共通しているのが、失われてゆくものに感情移入させるというセオリーです。好きなものであればあるほど、失った時に訪れる悲しみは大きいのです。なので、何かとの別れで人の心を揺さぶるのであれば、「それ」をいかに可愛らしく描くか、愛着を抱かせるかが重要な鍵となってきます。そして、そのための手段として、長い時間共にいたことを描くことはとても有効な方法です(長い間一緒にいたもの、そばにあったものには、知らず知らずのうちに愛着を抱いてしまうものです)。

 さて、ここで「ねんまつのうた」が活きてきます。「ねんまつのうた」は文字通り年末に一年間の思い出を振り返るという内容の歌ですが、ここで年単位の大きなスパンで「時間」をアピールしてきます。もちろんTr.01からの流れで、その一年は「君」と共にいたんだろうな、ということが容易に想像できます。つまりTr.02「ねんまつのうた」は、「猫」や「君」という単語を全く出さずに、「君」との日々(=長い時間)を表現するという重要かつ難しい役割を担っているのです。あえて「君」の名前を出さないことで、Tr.03の内容を推測し辛くしています。さらに、一年の間には「うれしいこととたのしいこと」(Tr.01)に加えて「かなしいことと さみしいこと」があった、という歌詞でさりげなくTr.03の伏線を張ることもできています。そして曲の終わりの「おっことしてこわさないで」に続くピアノの音でビンの中身がこぼれ、そのこぼれた思い出がTr.03として歌われる、ということで流れとしても完璧です。

 これらの美しい演出を、そのために新しく作った歌ではなく、すでに存在する歌をうまく利用することで成し遂げるという高度な構成力。そのことにこそ私は最大級の賛辞を送りたいと思います。これはそうそうできることじゃない。

 あまりにベタボメしすぎたので否定意見も書こうかと思ったのですが、正直な話、現時点では否定するような箇所が見つかりません(笑)。まぁ茶太ファンを公言している手前、持ち上げるだけに終始した感想を書いてもバチは当たらないでしょう。ということで、このCDは素晴らしい! 名作! と私は大絶賛したいと思います。一応言っておきますが、ファンフィルターが存分にかかってますからね!

 で、恒例の「好きなトラック」ですが……ここまで言ったらもうおわかりと思いますが、「全てまとめて一つの作品として好き」なので個別のトラックとしては特に言及したいものはありません。とにかく3曲でひとつの流れで、そして3曲合わせて素晴らしいと思います。


 ちなみにこのCDがクリティカルヒットした人は須藤真澄という漫画家の「長い長いさんぽ」という作品を読むことをオススメします。あれはねこ好きなら絶対に読まねばならない漫画です。「さびしんぼう。」を聴きながら、私は無性にこの漫画のことを思い出したのでした。
by hpsuke | 2008-01-10 00:57 | 同人音楽
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