-4th style EB Edition-
[雑記] ジョジョを知らない人のための「The Book」解説講義
 大好きな乙一先生の新刊をゲット! でも「ジョジョ」ってなんのことかさっぱりわからんぜ! んだけど数十巻にも及ぶ原作漫画をこれから読むのは面倒くせぇなぁ~! という方のための簡単な「ジョジョ」初学者向け講義です。これさえ読めば本当に必要最低限の知識だけはマスターできるかも! できないかも!


Q.まず「ジョジョの奇妙な冒険」って何?
A.週刊少年ジャンプに連載されていた少年漫画です。その圧倒的な個性と魅力で、数多くの信者を有するカリスマ作でもあります。漫画を読まない人でも名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか? ちなみに現在は週刊本誌ではなくウルトラジャンプ誌上で「STEEL BALL RUN」というタイトルになって連載が続いています(名前は変わっていますが「ジョジョ」の続編です)。合計100巻近くにも及ぶ大作で、(現在の時点では)第一部から第七部までの大きく七つの部に分かれています。

 ストーリーは、各部でそれぞれ登場人物も話の目的も敵役も異なるので一概には言えませんが、ジョースター家という一族の血を引く主人公たちが、波紋やスタンドと呼ばれる特殊能力を用いて仲間たちと共に巨悪と戦う、といった点が共通しています。他は舞台もストーリーも全くバラバラです(例えば第一部は19世紀のイギリスで吸血鬼と戦う話ですし、第三部は80年代の日本からエジプトに旅する話、第五部はイタリアンギャングの内部抗争です)。ただし今回の原作である第四部に限っては、ストーリーにおけるバトル要素がやや薄く、どちらかというと奇妙な登場人物たちの奇妙な日常を描いた内容になっています。

 「ジョジョ」を語る上で良く話題に上るのは、「メメタァ」「ズキュゥゥン」「パパウパウパウ」などの他に類を見ない擬音、古代美術の大理石の石像のような肉体美と特徴的なポーズ、「ドラゴンボール」のような単純な力比べとは一線を画した戦略性と謎解きを重視する能力バトル、といった要素でしょうか。擬音はよくネタにされているし、ポーズも「ジョジョ立ち」として有名なので名前を聞いたことのある方も多いでしょう。

 もちろんこれらの要素も「ジョジョ」にとっては大きな特徴と言えるのですが、この小説版を読むに当たっては、さほど重要な情報ではありません(「The Book」は漫画作品ではないので、擬音もポーズも出てこないからです)。「ジョジョ」が名作として多くのファンに支えられている最大の理由は、そして「The Book」を読むにあたって本当に知っておいてほしいこととは、「ジョジョ」の物語は、それが善にしろ悪にしろ、大きな運命に呑み込まれながらも、決して諦めず常に前向きさを失わずに戦う人間たちの物語であるということです。このような強い意志を持った人々のぶつかり合いや共闘が熱く描かれていることこそが、この「ジョジョの奇妙な冒険」の本当の魅力であり個性です。これを踏まえて小説版を読んでもらえると、ああ「ジョジョ」ってこういうものなんだなぁ、とわかっていただけると思います。


Q.タイトルにある「ジョジョ」って何? 人名?
A.その通り、主人公の愛称です。「ジョジョの奇妙な冒険」は七十巻以上にも及ぶ大作で、第一部~第七部までに分かれています。これらの部はそれぞれ時代も舞台も全く異なるため、その都度新しい人物が主人公になります。しかしこれらの主人公たちの名前は共通して「ジョジョ」と略することができるようになっているのです。例えば今回の原作である第四部の主人公・東方仗助は、「仗助」を音読みすれば「じょうじょ」と読むこともできます。尤も、実際にジョジョというあだ名で呼ばれていたのは第三部の冒頭までで、それ以降は普通の名前で呼ばれることがほとんどですが。


Q.今回の原作である「第四部」の大まかな雰囲気を教えて~
A.第四部は、杜王町(もりおうちょう)という東北地方の田舎の町を舞台にした物語です。この町は普通の町なので、町が破壊される激しい戦争や人類の滅亡をかけた戦いなどは表立って起きておらず、普通の人々がいたって普通に暮らしています。東方仗助や岸辺露伴、広瀬康一、虹村億泰といった登場人物たちも同様です。ただしこの町にはスタンド使いが数多く存在するため、時に彼らと衝突したり、親しくなったり、あるいは共に他のスタンド使いと戦ったりすることがあります。これらの、日常の延長線上にありつつ、しかし奇妙な小エピソードを集めたのが「第四部」です。

 しかし、いくら普通の町のストーリーとはいえ、平和なだけの話ではありません。杜王町には人知れず殺人を繰り返す凶悪なスタンド使いがおり、一見平和に見える町の裏では多くの犠牲者が次々と殺され続けています。第四部後半はもっぱら彼とその支援者たちを追い詰める戦いが描かれます。小説では、この連続殺人鬼との戦いが無事決着し、再び平和が戻ってきたあとの町が舞台となっています。


Q.スタンドって何? 超能力?
A.スタンドとは、その使い手(本体)の精神力によって発現する特殊な能力のことです。超能力の一種と言ってしまっても良いかもしれません。スタンドはその大半が独自のビジョンを持っており、人型のものから動植物型、剣型、スーツ型、あるいは本体の体と一体化したものまで、様々な形のものがあります。ただし実体のあるものや実在のものと一体化するタイプのスタンドでない限り、スタンドを使えない人間にはスタンドを見ることも攻撃を加えることもできません。スタンドは本体の強い意思で操作することが可能で、状況に応じて呼び出したり引っ込めたりすることができます。

 また、これらのスタンドはただ人や物の形をしているだけではなく、それぞれ固有の特殊能力を有しています。例えば「少しだけ時を止められる」「殴ったものを重くする」「周りの人間を老化させる」などです。仗助のスタンドは「殴ったものを治す」、億泰のスタンドは「右手で空間を削り取る」、露伴のスタンドは「人を本に変える」といった能力を有しています。もちろん腕力のあるスタンドの場合は、こういった特殊能力を使わず、ただ殴らせることも可能です。

 スタンドの大まかなルールは以下の通り。もちろんそれぞれ例外はありますが……。
・本体一人・一匹につきスタンドは一体のみ。能力もスタンド一体につき基本一つのみ。
・スタンドのダメージと本体のダメージは共有される。
・本体が死ねばスタンドも消滅する。逆も同様。
・スタンドはスタンド使いにしか見えない。
・スタンドの破壊力と射程距離は反比例の関係にある。


Q.今回の小説に出てきた原作キャラの大まかな特徴は?

東方 仗助(ひがしかた じょうすけ)
 第四部主人公。ぶどうヶ丘高校一年生。特徴的なリーゼントヘアの不良だが、性格は人懐っこく明朗で、どちらかといえば楽観的。友情に厚く不屈の闘志を持つが、いい加減でセコい一面もある。現在は母親と二人暮しで、父親とは別居しているが仲は悪くない(父親は第二部主人公のジョセフだが、仗助はジョセフと不倫相手との間にできた子である)。親友は虹村億泰と広瀬康一、天敵は岸辺露伴。リーゼントをけなされると逆上し、見境なく暴れ始める癖がある(このあたりの事情に関しては本編を参照)。

 スタンドは「クレイジー・ダイヤモンド」。近距離パワー型の人型スタンドで、コンクリートすら殴り付けて粉々に破壊できる高い攻撃力と同時に、殴ったものを瞬時に元の形に治す修復能力をも持つ。人間の体も治すことが可能だが、物理的に破片を集めて修復するだけなので、破片が消滅した場合や、一度失われてしまった命を甦らせることはできない。また、自分の体を修復することもできない。


広瀬 康一(ひろせ こういち)
 第四部の語り部。ぶどうヶ丘高校一年生。小柄で、どこにでもいるような、温和で平穏を好む普通の少年だったが、仗助らと知り合い多くの事件に巻き込まれるうちにスタンド能力を発現させ、かつ強い意志を持つ頼れる男として成長した。エキセントリックなキャラの多い杜王町の面々の中で、最も常識的な視点や考え方を持つキャラである。優しく広い心の持ち主であるため、善人だけではなく悪人にも好かれやすい。

 スタンドは「エコーズ」。発現後徐々に成長したため、ACT1~ACT3までの三つの形態を有し、それぞれが異なる特徴や能力を持つ。ACT1はトカゲのような小さいスタンドで、射程距離は50メートル。音を人に貼り付け、内部で反響させることができる。ACT2はACT1と似ているがメカニカルな外見で、尻尾の先端を効果音に変え、それを貼り付けたものにその効果音の効果を発揮させることができる(『ドジュウ』を貼り付ければ高温を発し、『ドヒュウ』を貼り付ければ触れた物を吹き飛ばせる)。ACT3は短射程の人型スタンドで、一度に一つの対象のみ重くし、動きを封じることができる。なおACT3のみ独自の自我を持つ。これらのスタンドは使い分けることができるが、一度に発現させられるのは一体のみ。


岸辺 露伴(きしべ ろはん)
 杜王町在住の人気漫画家。弱冠20歳にしてすでに超一流の技術を持つ。しかし性格はひねくれている上に意地っ張りで、なおかつ創作のためなら自分自身や無関係な他人を含む全てを犠牲にできるトラブルメーカーでもある。康一とは(半ば一方的に)友人付き合いを続けているが、仗助とは反りが合わず、顔を合わせるたびに喧嘩している。なお、「岸辺露伴は動かない」というタイトルの、彼を主人公とした短編シリーズが現在まで二作発表済みである。

 スタンドは「ヘブンズドアー」。露伴の描いた絵を見た人間を本に変える能力で、本に変えられた人間は自由に動けなくなる。そのページにはこれまでの全ての記憶や本人の情報が書かれており、そこに新しい書き込みを行なうことで無意識レベルの命令を与えることもできる。最初は生原稿を見せることが発動条件だったが、のちに空中に絵を描くことが可能となり、さらに終盤ではその絵がスタンドの像となって直接的に攻撃できるようになった。


虹村 億泰(にじむら おくやす)
 仗助や康一の友人。杜王町のぶどうヶ丘高校一年生。体格が良く強面で単純・直情的、ものを深く考えるのが苦手という典型的な「バカな不良」であるが、実際は気のいい男。形兆という兄がいたが、他の邪悪なスタンド使いによって殺されている(兄自身も事情があって何人もの人間を殺していたため、その死については半ば自業自得といえる)。これまでずっと兄に従って生きてきたため、自分で決断を下すのが苦手。仗助とは不良同士馬が合い、初対面では敵対していたのにも拘わらず、今ではすっかり大親友である。

 スタンドは「ザ・ハンド」。近距離パワー型の人型スタンドで、右手で空間を削り取ることができる。削り取られた空間はこの世から完全に消滅し、断面は「まるで最初から何もなかったかのように」くっついてしまう。この能力を利用して、空間を空振りすれば、その向こうにあるものを瞬間移動させて引き寄せることができる。このように攻撃力は非常に優れているが、反面スピードに難があり、素早く動ける相手には楽に攻撃をかわされてしまう。


山岸 由花子(やまぎし ゆかこ)
 康一の彼女。康一や仗助・億泰たちと同じく、杜王町のぶどうヶ丘高校一年生。容姿端麗で料理の腕も抜群だが、非常に身勝手でキレやすく、すぐ我侭を言っては癇癪を起こすブッ飛んだ性格の持ち主。康一への愛情もブッ飛んでおり、ストーカーのようにつきまとったり、自分の思い通りにしようと監禁したりと明らかに度を越えている。ちなみに康一は無理矢理付き合わされているわけではなく、一応両想いである(この性格すら受け入れているようだ)。

 スタンドは「ラブ・デラックス」。由花子本人の髪と一体化したスタンドで、触手のように長く伸ばしたり、自在に操作することができる。相手の頭に植え付けることによって行動を制御することも可能。


トニオ・トラサルディー
 杜王町でイタリアンレストランを開いている若いコック(イタリア人)。裏表なく、ただ純粋に「美味しいものを人に食べさせて喜ばせたい」と願う生粋の料理人。一人で店を切り盛りしているため、テーブルは二つしか置いていない。不潔な格好で厨房に入られると激怒する。

 スタンドは「パール・ジャム」。料理の中に潜むスタンドで、料理を通じて食べた人間の病気や怪我、肉体の不調をその場で完治させる能力をもつ。その料理の味が絶品なのは、このスタンドによる影響か、トニオ本人の腕によるものかは不明。


Q.あと、知っておいた方が良いことって?
 冒頭の鉄塔男は原作にも出てきたキャラで、仗助らと戦って敗北しています。「鉄塔から出られない」という能力なので中にいますが、本人はそれで満足しています。

 「今まで食べたパンの枚数を~」というのは、原作第一部に出てくる悪の吸血鬼ディオとの会話ネタ。正確には「いったい何人の生命をその傷のために吸い取った!?」→「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」というやり取りです。

 スタンド使いになるきっかけは、「生まれつき」「血縁の影響」「特殊な矢に刺される」という三つのタイプがあります。このうち重要なのは矢によるスタンド能力の発現で、スタンド能力の才能がある者はこの矢に刺されることによってスタンドを身につけることができますが、才能がない人間の場合はショックで死んでしまいます。矢は常に細長い形状をしているわけではなく、矢じりの部分だけが個別に扱われることもあります(人によってはそれが矢じりだと気付かないことも)。杜王町にスタンド使いが多く存在するのも、この町に住む複数の人間が、それぞれの動機で仲間を増やそうと矢を悪用したからです。


 とりあえずこれだけ知っていれば「おいてけぼり感」はかなり薄まるのではないでしょうか。まだまだ物足りない方は原作をどうぞ。もしくは、ちょっとしたことなら、原作を読んで楽しむのに差し支えない程度にお答えします。
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by hpsuke | 2007-12-09 18:21 | 雑記
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