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-4th style EB Edition-
[漫画] 今週の「銀魂」の銀さんはギャグに昇華されてたけど
 先日しばしばさんのコメントを頂いてから「自分が漫画の長文感想を書かなく(書けなく)なった理由」についてずっと考えていたんですが、それはやはり、私がたとえ漫画について何をどれだけ言おうと、結局次の一言に対して反論できないからじゃあないのかな、と今はちょっと思い始めています。

 文句ばっかり言ってるくらいなら読むな。

 先日の記事では大人読者がどうだ目的がどうだと言いましたが――もちろんあれも嘘ではないんですが――、私が今の漫画感想界隈で本当に問題に感じているのは、過去の自分を含めて、非建設的な文句ばっかり偉そうにぐだぐだ言ってる連中なのだと思います。目的が違うとか少年漫画の定義がどうだといった理論的な部分はむしろ後付けで、それより先に「文句ばかり言うこと」への嫌悪感が存在しているのではないか。先の問題提起は、その嫌悪感を理論武装しただけではないのか。そして、そういう傾向が固まりつつある感想界隈で、自分もその中に身を置くことが耐えられなくなってしまったから、長文感想が書けなくなってしまったのではないか。それが恐らく、今の私の本心ではないかと思います。

 少年漫画雑誌を読むことは別に義務でもなんでもありません。読みたければ読めば良いし、読みたくなければ読まなければ良いだけの話です。もしそれで不快になったのだとしたら、次は自分の意思で確実に回避することができるはずです。言い換えれば、漫画を読んで感じる不満の原因の一端は自分にある、ということでもあります。まして週一度発行という内容の連続性の高い雑誌ですから、その中身が面白いか面白くないか、それを読んで自分が満足できるかできないかは簡単に推察できるでしょう。「商品の外見に騙される」ことはまずありません。ならば、自分がもしそれを読んで面白くないと感じるなら、読まない、買わないといった行動を取るのが誠実な読者の義務ではないのかと、そう思えてなりません。

 最近(昔から?)あちこちで見かける「少年漫画を読んで文句を言っている人々」は、そのことをすっかり忘れているように見えます。自分の義務は棚に上げて、相手の義務ばかりを主張しているのではないでしょうか。そして私の価値観――少年漫画で培ってきた価値観で言わせてもらうなら、そういったスタンスはただ「格好悪い」の一言に尽きます。

 かつての私がどれほど格好悪かったかを、思い知ってしまったのです。

 キツい言い方をさせて頂くなら、それはまさしく「当たり屋」の行為と本質は変わらないと思います。あまり自分を満足させてくれないとわかっている雑誌や漫画に、誰にも頼まれていないのにわざわざ自分から突撃して、にもかかわらず満足できなかったら声高に相手の責任を追及する。自分から車にぶつかっていって相手に慰謝料を要求する行為と何が違うのか、私にはわかりません。

 もちろん売り手側の編集部からすると、それでも良いから売り上げを落としたくないのが事実でしょう。おまんまが食えなくなることに比べたら、ちょっと文句を言われるくらいどうってことはないはずです。しかし、そういう相手の事情の足元を見て居丈高な振る舞いをする読者は、絶対に正義を振りかざすことはできないだろうと思います。これだけ正義という概念を重視し賛美するジャンルの漫画を長年読み続けてきて、それでも結局こういう着地点に落ち着くのかと思うと、非常に残念でなりません。

 応援しているつもりなら、陰で文句をぐだぐだ並べるより、作者に応援の手紙を出した方が何百倍も理に適っているはず。現状改善を目指して批評しているつもりなら、ネットの隅っこで誰に見られているかもわからない文章を更新するより、同じ主旨の文章を編集部に直接述べた方が何千倍も建設的かつ効果的なはず。これは違うでしょうか? 間違っている意見でしょうか?

 勘違いしないでほしいのですが、私は別に文句を一言も言うなと言っているわけではありません。普段楽しんでいる漫画を読んでちょっと文句を言いたくなったのなら、自由に言えば良いでしょう。文句も感想なんですから。ただ、最初から文句を言うつもりでその漫画を読んだり(それはすでにイチャモンのレベルです)、あるいは文句に「俺は編集部や作家のためを思って」「俺は彼らを応援しているから」という自己正当化をくっつける行為がただただ不快だと言いたいのです。そういうことを言って良いのは、ちゃんと作者に直接自分の意見をフィードバックさせる努力をしている人だけだと思います。

 まぁ、資本主義の理念から考えると、クライアントは正式な代金を支払って契約を成立させた時点で、自由に文句を言う権利を手に入れるのは事実ですけどね。お客様は神様ですから。でも、自分のことを神と称してふんぞり返る人間にロクな奴がいないということくらい、これだけ長年少年漫画を読んでいれば嫌というほど学習してきたでしょうに。
by hpsuke | 2007-06-19 00:26 | 漫画
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