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[雑記] 新海誠「秒速5センチメートル」
 びば午前様!(笑)
 というわけでいろいろ書きたいことはあれど、もう疲れきっているので明日に回すことにします。明日は割とゆっくりできるので、がっと行きたいと思います。

 ただ、これだけは寝る前に書いておくことにしますが、昨日「時かけ」の記事のコメントで新海誠監督の映画「秒速5センチメートル」の話題が出ていたので、昼頃に時間を作って早速観てきました、「秒速5センチメートル」。私が「そのうちやる」と言った時は、直後にアクションを起こすか永遠にしないかのどっちかなので今後もそのつもりで!(黙れ)

 てなわけでちょちょっと「5センチ」の感想です。

 私は新海監督作品のことはそれほど詳しくないので、ほとんど「噂だけ聞いてる初心者」状態で観に行ったのですが、そりゃもう背景がとんでもなく美しくてびっくりしました。ほとんど写真に近い美しさ! しかもそれを使って随所で現実にはありえない幻想的な風景を描いてくるもんだからまさに鳥肌物です。

 しかも何が一番凄いかって、その背景の美しさという武器を監督自身が良く理解していて、かつその武器が最も活きる形で作品を演出していることが一番凄い。この映画では言葉やモノローグ・ストーリーなんかよりも、背景そのものが登場人物の心情を語っています。そしてその背景がこれ以上ないほど美しいんだから、そりゃ凄い効果を発揮するよなあ、という話です。

 んでストーリーの方。確かに「時かけ」と似たようなモチーフを扱った話でしたが、しかし性質自体は全くの正反対に近いですね。「時かけ」が直木賞なら「5センチ」は芥川賞です。一言で言うと純文学なので、エンターテインメント志向の方にはちょっと向かないかなーとも思います。

 内容は、主題歌である山崎まさよしの「One more time, One more chance」そのもの。あの曲を丁寧に解釈して60分の映画にしたらこうなります。スピッツの「チェリー」もかなり似合う話だと思いますが、まぁこのへんの曲が好きな人ならまずハズレはないでしょう。良い意味でも悪い意味でも(ストライクすぎて逆に立ち直れないほどの大ダメージを受ける方もいると思う、という意味です)。え、私? 私は両方とも無茶苦茶大好きな曲ですが何か?

 この映画は三話構成の連作アニメですが、まず第一話「桜花抄」はほぼ完璧。切実すぎるほどの想いにぐいぐい惹き込まれました。第二話「コスモナウト」も素晴らしい。ちょっと長いかな? とも思いましたが、こちらも感情移入度は格別です。そして第三話の「秒速5センチメートル」ですが……これが、これが!! ああううううあおおおお!!

 なんと言えば良いんでしょうねえ、「これからスタープラチナのオラオラが来るから耐えるぞッ!」とか気合いを入れていたら後ろから拳銃で心臓を撃ち抜かれてころっと死んじゃった、みたいな(意味不明)。最初はあっけなさが先に来ますが、それからじわじわとヘビー級のずっしり感が襲ってきます。「観終わった後に、見慣れた風景がいつもより輝いて見えるような」ってそんなの無理ですって!!

 はっきりいって、(ネタバレ反転)救いがないんですよ、全く。そりゃ現実も確かにそんなもんなのかもしれんけどさあ! でもそこまで主人公に感情移入してきた人間からすると地獄に突き落とされるような印象を受けるんですよ! せめて、せめて「思い出は思い出にすぎなかった」でも良いから、彼には他に何かを用意してあげて! 彼は思い出のためだけに生きていて、そして思い出が救いにさえならなかったら、最後は一体どうなってしまうというんですか……。(ネタバレ反転終了)

 というわけで、私のような人間には重くのしかかってくるような映画でした。でも良い作品であることには間違いないので、興味がある方は映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。60分の短い映画でチケットも安いので、割と気軽に観に行くことはできます。観終わったあとも気軽さを維持できるかどうかはちょっと保証できませんけど……。


 最後に無理矢理「時かけ」と対比させると、「時かけ」が動の作品であるのに対して、「5センチ」は静の作品であると思います。「時かけ」はひたすら走って転んで動きまくる主人公がストーリーをぐいぐい引っ張っていくのに対し、「5センチ」はキャラそのものよりも動かない風景画に映像・ストーリー両方の焦点を当てています。これはなぜかというと、「時かけ」は決して止まらず常に動き続ける「時」と向き合う作品であるのに対し、「5センチ」はもはや永遠に動くことのない「思い出」と向き合う作品であるからです。

 ただ、そんな静の作品が「秒速5センチメートル」という、動きを意識させるタイトルであるというのは非常に興味深いところです。そういえば確かに、無数にある不動の思い出の風景の中でも、「それ」だけは秒速5センチメートルでずっと動き続けているんですよねえ。つまり、思い出を追いかける日々もいつか終わりが来ると、主人公が違う方向を向く日が来ると、そんな深読みがどうか当たってほしいと思う次第です。

 余談。スタッフロールを観ていたら、みずさわゆうきさんの名前があってびっくり。しかも「あなたのための世界」ってベストアルバムどころかシングルまで持ってるんですけど!(笑) 調べてみると「コスモナウト」に出てくるコンビニのシーンで流れていたそうですが、全然気付かなかった……くっ、一生の不覚。
by hpsuke | 2007-04-25 02:23 | 雑記
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