[漫画] 先週の漫画雑誌感想(2008年度第42号)
続くかどうかはわかりませんが、今回はこういう形式で行きます。
<ジャンプ> ・バクマン なんというか、不思議な漫画です。何が不思議かってどう読んで良いのかわからないのが本当に不思議。普通に読めば漫画家を目指す少年たちの物語なんですが、何故か普通に読むことを許さない変な空気が流れていますね。他の漫画と同じように感情移入しようとすると、ものすごい違和感に阻まれてしまうのです。 そこでそう思えてしまう原因をいろいろ考えてみたのですが、やはりサイコーやシュージンの見ている世界が小さすぎる上、それがいきなり外の世界と同一視されているのが主な要因でしょう。一種のセカイ系と言いますか、自分達の周りのミクロな世界と社会というマクロな世界を混同してしまっている、つまり主観と客観の区別がついていない、もっと端的に言うなら中二病な世界観が完全肯定されているのです。「自分の好きな子は可愛いと思う→だから若いうちから売れるに違いない」という思考なんかはまさに中二病の典型例。しかもそれに対してツッコミが入るどころか、周囲の大人や設定、展開などあらゆる要素が中二病を補強しているのです(たとえば無茶な主張に大人が誰も反対しない、ほんの僅かな練習で水準以上の絵が描けるようになる、etc...)。これではスレてしまった私のような人間が素直に入り込めるわけがありませんね……。 というわけで現在の私の読み方は、かつて重度の中二病だった頃の自分を思い出して転げ回りながら読むというあたりに落ち着いています(笑)。いつかツッコミが入るのか、それともそのまま行くのかは読めませんが、もうしばらくは平静な気分で読むことはできそうにありません。 ・トリコ 非常に面白いんですが、この漫画の「食」って完全に素材主導で、調理作業の占める割合がものすごく小さいんですよね(今回のフグ鯨の実食でも、小松の調理についてはほぼ無視されています。それどころか小松の調理技術描写すらも完全に素材主導)。そこだけがちょっと不満かもしれません。 ・ぬらりひょんの孫 うどんシーンひとつで敵組織を魅力的に描いてしまったのには完敗しました。なんてすさまじい親近感……! ・バリハケン この二人は早く正体バレしたり、周囲に内緒でこっそり付き合ったり、顔を見ただけで卒倒するようになったりすれば良いと思いました。目指せバリデレ! <サンデー> ・ケンイチ 馬師父とカストルの相性の良さがなんだかとても微笑ましいですね。この娘も基本バカなんだな(笑)。YOMIの新手・櫛灘さんはまさかの年下属性でびっくりしました。そしてそれと同時に「彼女がくっつくとしたら誰か」を素で考え始めている自分にもびっくりです。 ・結界師 ずっと前から思わせぶりにちょこちょこ出ている正統継承者と選ばれなかった人間の問題ですが、これって要するにモテと非モテの問題と本質はおんなじですよね。 モテ「女にモテるとかそんなんどうでもいいよ。俺はただみんな仲良くなれれば……」 非モテ「うるせー! モテに俺の気持ちなんてわかんねーよ! バーカ! うわーん!」 わかったよ正守兄ィ!! 兄貴の苦悩が! 「言葉」でなく「心」で理解できた! ・絶対可憐チルドレン 「ソリッドな秋葉系でない、背骨の通った美少女SFコメディー」と「ソリッドな秋葉系に流されまくった美少女SFコメディー」との間で揺れ動く椎名先生の魂が、この漫画の最近の最大の見所だと思います(笑)。アニメが始まった前後くらいから、あっちの文化にどんどん吸引されていく(のを必死に逆らって泳いでいる)のがはっきりとわかる……! がんばれ! 椎名先生! それにしても雲居さんの正体はどう読めば良いんでしょうね。こんなにわかりやすいと逆に裏をかかれているのではないかと疑心暗鬼になってしまいます。かといってここまでやっておいて今更無関係はないだろうし。仮面の子=雲居さんと見せかけて実は別人で、雲居さんは第三勢力に所属しチルドレンを監視しつつ「黒い幽霊」を警戒してる……とか? ・金剛番長 今週は月曜祝日で発売日が一日遅れたので、その隙にうっかりネタバレを目にしてしまったのはあまりに致命的なミスでした……! 自分のバカ野郎ォォ! 「金剛番長」の世界では「信念の強さ>肉体の強さ」という法則が成り立っている(信念は理屈を凌駕する)ので、金剛の復活もそのへんのメソッドが使われるのではないかと思うのですが、そのくせこの漫画は妙に理屈にこだわるところもあるので(はっきり超能力の存在を否定するところとか)、実際はどうやって復活するのかイマイチ読めません。なんだろう、復活番長とか出てくるんだろうか? ・お茶にごす わびさびと地味・脇キャラ好きには相通じるものがある、というのが私の持論です。 「脇役… 普通の脇役の女の子じゃないですか」 「そうですね。でもとても扱いが酷くて、あちこち発育も負けています。 園芸部自体も切られて、出番をなくしています… でも、不遇にさらされてなお、一途に想う様は、諦めない人のお心が忍ばれて… 美しいと思いませんか?」 結論:「ケンイチ」の泉さんはわびさびの人。 ・オニデレ 最近はこの漫画のおかげでバカップルスキーが増殖しつつあるようで嬉しいですね。みんなでもっと祝福しようぜ! ・月光条例 分不相応で理不尽な幸福は、分不相応で理不尽な不幸を経験してきた者にのみ与えられるべきである、というのが私の持論です。シンデレラはそれまでに相当理不尽な仕打ちを受け続けてきたので、ここで理不尽に幸福になったとしても私は特に疑問には思いません。理不尽な不幸も理不尽な幸福も「事故」に過ぎないからです(「事故」だからこそ理由や必然を求めるのはナンセンス)。そのへんのバランスを崩してしまうと、妙に鼻持ちならない主人公になってしまったり、釈然としないラストになってしまったりするんですよね。 ちなみに逆も然りで、理不尽な倒され方をする敵は、必ずその前に理不尽な暴力を振るっていなければ読者の心証が悪くなってしまうはずです。これは扱いの難しい手法ですが、うまく使えば効果覿面な手法でもあります。まぁバトル漫画よりはギャグ漫画で多用されているんですが。 ・GOLDEN AGE 徳ちゃん先輩いいなぁ……人のせいにせず、責任を一手に引き受ける彼は十分にキャプテンの器です。 ・魔王 安藤の能力は内容だけ見るとなんだかショボい印象が拭えませんが、他人を完全にコントロールできるという点で、実はマスターとは比較にならないほど次元の高い能力でもあります(「うえきの法則」の森のメガネ好きの能力が最強扱いされていたことを思い返すと良いでしょうか)。しかしそれだけに副作用の方も半端ではなかった……ということなのだと思います。 とりあえず無事に第二部も始まるようで何よりです。最近は巻末に追いやられていますが、私、かなりこの漫画が好きなので。 ・ギャンブルッ! 画力=演出力ではない、という好例ですね。 チャンピオン感想はあとで追加します。
by hpsuke
| 2008-09-22 03:52
| 漫画
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