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-4th style EB Edition-
[漫画] 『郷田豪』&『RANGE MAN』最終回によせてあれこれプラスアルファ(1)
「どうもです、みなさん。こんにちわ~」
「チッス、忘れた頃にやってくる恒例の脳内対談のコーナーだぜ!」
「またそういう言わなくても良いことをいちいち……」
「いいじゃねーか本当のことなんだし。それはともかく、今回は流石に細かい自己紹介
    はいらんよな?」
「まぁ、いつもと同じだしね……なくても良いんじゃない? ていうか、大したネタもない
    し面倒臭いし」
「そういう裏事情をズバズバ言うんじゃねーよ!」

「それで今回は何するの? この前のジャンプの感想でなんか思わせぶりなことを書
    いてたから、それかな」
「そうだな。先日見事打ち切りを喰らった『郷田豪』について、どーしても言っておきたい
    ことがあんだよ」
「どうせあんたのことだから、ロクな内容じゃないんでしょうけど……」
「んなこたねーぞ。今回ばかりは割とマジだ。あと、それに加えて『レンジマン』のことに
    もちらっと触れて、ついでに幾つか気になる少年漫画についてもダラダラ喋る予定」
「『郷田豪』については任せるけど、他は私がきっちり目を光らせますからね」
「信用ねーなー」
「信用されるようなことを言ってないからでしょうが!」


「さて。それでは早速『郷田豪』について語らせてもらうが、この漫画で最も注目すべき
    だったポイントは何だと思う?」
「ポイント? うーんと。仲間の描写について、とか?」
「チッチッチッ! No, no, no, no, no! 何もかもが違う!」
(……すっごいムカツく……)
「お前の目は節穴か!? 注目すべき点ったら一つしかねーだろ!

    田中ゆーじろーと氷湊クル!!

    この他に一体何があるってんだヴォケッ!」
「……いつものことだけど、意味がわかりません」
「あの関係性はアツい! バカップルとかそういうのは全く違う意味でのアツさだ! 言
    うなれば熱血の一種だな!」
「うーん、熱血ねえ。そういう感じの描写だったっけ?」
「あーあ、これだから理性は。表層の描写だけに囚われている奴には、本質が見えな
    くてもしょーがねーわな!」
「あんた、今回はいつになく挑発的ね(にっこり)」
「ひい、なんか今背中にえらくゾクッと来た! まぁ、今から説明すっからちょっと待って
    ろや。
     本質とは何か? それはつまり、一言で言うなら『孤独からの救済』だ」
「ああ、なるほど。そういうことね。確かに氷湊クルは『友達はいない、いつも一人』の
    孤独系キャラだったもんね。それが田中ゆーじろーの登場で孤独じゃなくなったと、あ
    んたはそう言いたかったのね」
「やっぱお前はわかってねーな。それは確かにそうなんだが、しかしやっぱり表層だけ
    をなぞった時の表現に過ぎねえ。もう一段下のレベルに潜って考えた時に初めて本
    質が見えてくるはずだ。
     そのために、まず氷湊クルのキャラクター性から考えていくぞ。最初に最も重要な
    点を述べておくと、クルが孤独だったのは彼女自身の性格のせいだ、っつーこと
    だ。最初は確かに場違いな厚着や危険な兄などの外的要因が彼女を孤独にさせた
    のかもしれねえ。しかしそんな環境に置かれているうちに彼女は思い込んでしまった
    んだ、自分は孤独でいるべきなんだと。他人との接触を避け、自分の世界――クル
    の場合は読書だ――に閉じ篭り、友人というものを得ることを諦めた。これが彼女
    を襲った最大の悲劇であり、そして彼女が孤独であった最大の理由だ。いわば彼女
    は自分と外部を隔離する分厚い壁を自らの手で作り上げてしまったわけだ」
「まあねぇ。厚着でも兄が物騒でも、友達を作れる性格の人なら作っちゃうもんだよね」
「だが、ここで転機が訪れる。それがいわずもがなの田中ゆーじろーだ。ゆーじろーは
    (苦しすぎる勘違いからとはいえ)クルに向かって積極的にアタックを始めた。無条件
    かつ無制限の熱意で、クルを囲む外壁を破壊しにかかったんだよ。どうだ、このゆー
    じろーの姿は、『誰かを助けたい』というたった一つのシンプルな理由であらゆる難敵
    や無理難題に挑む、少年漫画の熱血主人公を髣髴とさせるもんがねーか?」
「そう言われてみればね……」
「だろ!? そういう意味では、こういうシチュエーションは少年漫画メソッドを現実世界
    に適用するための最も無理のない形のひとつかもしれん。しかし本当に熱血な点は
    そこではない。そういったゆーじろーの行動に感化され、クル自身も自ら作り上げた
    隔壁を破壊しようと試み始めたところが最もアツいんだ! ゆーじろーとの登下校を
    拒まず、他人に積極的に興味を持ち、やがて接触は他の人間との間にも広まって、
    最終的にはバレーボール使い部としての行動まで起こしている! 他人との上手い
    付き合い方がまだわかってないから、いちいち不器用なやり方ではあったがな! 
    当初の誰も寄せ付けずに本ばかり読んでいた頃からするとまるで別人のようじゃね
    ーか! 過去との決別! 成長! これぞまさに熱・血・少・年・漫・画!!」
「別に少年漫画に限った話ではないと思うけど。でも、無条件の熱意で行動して誰か
    の救いになるあたりは、少年漫画的と言えるかもね」
「というわけでだな、『郷田豪』で最も注目すべきだったのは、『限りない熱意でクルを
    孤独から開放しようと躍起になっていたゆーじろーと、それに応えようと不器
    用ながらも自らを少しずつ変化させ始めたクル』という点であったことは疑いが
    ない! 他は知らん! 終わり!!」
「最後に思いっきりブン投げたー!?」
「ちなみにこれと似たようなケースとしては、『School Rumble』の天満×烏丸や東方
    のパチュ魔理・アリマリあたりも挙げられるな。特に天満×烏丸はアツいぞ。烏丸な
    んぞ一見すると何考えてんのかわからん影の薄い男でしかないが、今回のクルの位
    置に当てはめてみると印象が180度変わること請け合いだ。『不器用ながらも誠実
    に応えようとしている』部分の表現で言うなら明らかにクルを超えている。烏丸メイン
    回でつまらんとか言ってる奴は要反省!」
「いや、何を面白いと思って何をつまらないと思うかなんて、別に人それぞれで良いじ
    ゃないの」
「いや違うね。そういう奴に限って、俺は漫画読みですってツラをしながら、実は美少女
    キャラしか見てなかったりするじゃねーか。そういう奴にとっては、『面白い=美少女
    キャラが可愛い行動をとった、萌えー』でしかねー場合が多々ある!」
「うっ。ちょっと否定できないかも……」
「萌えに走ること自体は別に否定せんが、それにばっかり固執しているうちは漫画読
    みを自称するなと言いたい! 萌えがない=つまらんというのはそいつがそういう読
    み方しかしてねーからだ! 漫画読みならもっと多様な楽しみ方ができるようになれ
    よ! そこをまず自覚しろ!」
「ちょ、ちょっと! あんまりそういう攻撃的な発言をしないでよ。なんか喧嘩売ってるみ
    たいじゃないの」
「俺は本能で感じてることを言ってるだけだ! なんでもかんでも萌え萌え言って片付
    けてる最近の風潮を見てるとイライラすんだよ。さっきも言ったが、特にそういう奴が
    いっぱしの批評論者ヅラしてるのを見ると我慢ならん。そんなに萌え萌えしたいなら
    漫画ばんがいちでも読んでろ、少年漫画に自分から首突っ込んでブツブツ言ってんじ
    ゃねえ! ケーキが食いたいならケーキ屋に行け、牛丼屋に来てまでケーキがない
    とゴネるな!」
「ひ、ひい! ほんとにこのへんで勘弁して! 何がマズいって、人のこと言えないの
    が一番マズいんだって!」
 

「というわけで、えーと、失礼しました。本能がいささか暴走してしまいましたが、理性
    はまだまだ大丈夫ですよ? それでは引き続き『RANGE MAN』の総括に行きたい
    と思います」
「こりゃまたえらく強引な話題転換だな」
「あんたのせいだっつーの! 収拾つかなくなったから無理矢理話を変えるしかなかっ
    たんでしょ! いちいちフォローに走るこっちの身にもなってよ」
「え? それがお前の役割だろ?」
「いっぺんSHI☆NE☆YO」
「『レンジマン』はなー。とりあえず、もう少し鎌児の母に注目する人が増えてもいいと
    思うんだが」
「いきなり明後日の方向に話が飛んだわね!」
「あれだけ立派な妄想暴走属性の女はそうそういねえ。妄想に耽って立ち尽くしている
    うちに余裕で一時間は経過してるんだぞ! しかも何が凄いかって、その「風香と
    仲良く嫁姑関係になる」妄想が現実になりかねないところが他の妄想暴走属性
    とは一味も二味も違うんだ!」
「わざわざ太字で強調するほどのことだったのかな!」
「千代も妄想キャラとしては描かれていたが、いまいちインパクトが弱かったのは否め
    ん。肝心の妄想シーンが前面に押し出されてなかったからな。それに引き換え鎌児
    母のインパクトの凄まじいことよ! 出番自体は数えるほどしかなかったのに、一回
    一回のさりげないラッシュがまさにクレーター級! ヒットアンドアウェイの極致、爆弾
    投下型戦術の恐ろしさを垣間見た気分だぜ!」
「あの、もうちょっと人間にわかる言葉で喋ってね」
「確かに風香と鎌児のアブノーマルな恋も相当の破壊力であったことは事実だ。この
    二人はきっとサンデー史に残るサドマゾカップルとして長く語り継がれることだろう。し
    かしその陰に圧倒的な存在がいたことを我々は忘れてはならん。人類の歩んできた
    道はいつもこうだ、歴史には表の主役と埋もれた陰の主役が存在するのだ!」
「いい加減気は済んだ? それじゃあ私の方からささっとまとめに突入しちゃうよ。
     えーと、今回の『レンジマン』は、恐らくモリ先生が得意とする『パロディ』と『ラブコ
    メ』を合体させようという意図のもとに企画された漫画だったと思うんですが……結果
    としては、合体どころか見事に空中分解しちゃいました。戦隊モノパロディの部分が
    完全に置いてけぼりで、後半はただの中途半端なラブコメ漫画になっちゃってました
    から。こうなった原因は、たぶんパロディをパロディとして描けなかったこと、パロ
    ディの距離を見誤ってしまったことだと思います」
「パロディの距離を見誤る? お前こそもうちょっと日本語を喋れや」
「今説明するからだぁっとれ! 要するにね、『レンジマン』の戦隊モノ要素っていうの
    は、パロディじゃなくて本物でしかなかったのよ。戦隊モノをパロってるんじゃなくて、
    すでにひとつの立派な戦隊モノになっちゃってたわけ。でもモリ先生は『茂志田★諸
    君!!』や『いでじゅう』を見ればわかる通り、戦闘シーンやバトルの動機付け、細かい
    戦闘のギミックというものがからっきし描けないタイプの漫画家だから。パロディの範
    疇に収まっているうちは良いとしても、本当に戦闘シーンが必要なタイプの漫画には
    決定的に向いていないの。だからね、今回の敗因は、「パロディを描こうとしてパロ
    ディじゃないものを描いてしまった」ことじゃなかったのかなーと私は思います」
「まぁ、戦隊モノが描けないなら、ラブコメに走るしかないよな。それで後半はラブコメ一
    辺倒になったと考えれば筋は通るかもしれん」
「なので、次回作はもっと純粋に自分の武器だけで勝負できるようなジャンルの漫画
    を、もっとぶっちゃけると純粋なラブコメ漫画を狙うといいんじゃないかな。パロディ
    系の設定はお飾り程度にあってもいいけど、でも今回みたいに前面に押し出すのは
    やめておくのが無難かな」
「つーかもういっそエロコメ漫画を描かせちまったらどーよ。ジャンプで言うところの『To
     LOVEる』みたいなヤツをよ」
「確かにえろを描く素質はあると思うけどね……そういうの好きそうだし。でも本人はき
    っとそういう直球は嫌がるだろうし、それに卓越した感情描写という長所がスポイルさ
    れちゃいそうなのも怖い。私としては純愛系のラブコメ希望、ということで。『レンジマ
    ン』については以上かな」


(おまけに続く)
by hpsuke | 2007-09-02 13:48 | 漫画
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