-4th style EB Edition-
[同人音楽] 茶太@下村陽子「murmur」感想

murmur

茶太@下村陽子(株式会社TEAM Entertainment販売)

 発売から約一ヶ月半。そろそろ行っとけということで、茶太さんのメジャーデビューアルバムとなる「murmur」の感想を書いてみます。数日かけて書き上げた無駄に長い文章なので要注意。なお、同人音楽カテゴリの記事ではありますが、当然ながらこのCDは同人音楽CDではありません。

 えーと、正直に申しますと、最初はちょっと微妙な印象でした。全体的に茶太さんの本来の音域よりちょっと高めのオクターブを無理に歌わせているような、なんだか苦しそうな歌い方をしているなーという印象ばかりが強かったので。ただ、何度も聴いているうちに曲の魅力がそれにじわじわ追いついてきて、最終的にはプラス寄りのところに落ち着きました。スルメCD(聴けば聴くほど味が出てくるCD)の典型例ではないかと思います。

 とはいえ、茶太さんの歌い方に少し無理を感じるのは今も同じなので、茶太さん独自の魅力が発揮されているCDかどうかというと、やはりそれはちょっと疑問だったりもします。下村さんの基本能力でそれなりのモノに仕上がってはいるものの、そこに茶太さんを使う意味があまり感じられなかった、というか……。彼女とのコラボレーションで茶太さんの魅力が倍増しているどころか、茶太さん本来のパワーすらも十分に発揮されていなかったような印象を受けました(もちろん二人で協力して作り上げていったCDですから、下村さんだけに原因があるわけではないのですが)。ちなみに茶太さん作詞の歌詞は、悪くはないけど平均点といったあたり。言いたいことは良く伝わってくるけど、それが大きく心を動かすことはなかった、と言えば近いでしょうか。特にポエムは予想と違った方向性だった(かつ、あまり上手くいっていると思えなかった)ので個人的にちょっと微妙でした。

 というわけで私の感想をまとめると、繰り返し聴いているうちに味が出てくるそこそこ良いCDだけど、茶太さんの歌声の魅力はあまり出ていないのでは、といったところでしょうか。新規リスナー開拓のチャンスであるメジャーデビューアルバムとして、もうちょっと頑張ってほしかったかなあと思います(いや、作り手側はもちろん頑張ったんでしょうけど)。もちろん、私がそう思うだけで、他のリスナーの方の中にはそうは思わない人もいるでしょうけど……。

 以下、各トラックごとの寸感など。蛇足ながら、それぞれのトラックを聴きながら私が感じたイメージについてもちょろっと書いてあります。

Tr.01「春風」
 うーん、のっけからなかなか難しいトラックが(笑)。好きとも嫌いとも普通とも言い切れない不思議な曲です。私の受けた「春先の爽やかな風が吹き抜ける、街が見下ろせる丘」といったイメージに忠実に行けば、春が来たぜーわくわくするぜーといった感じで良いんでしょうけど。ただ、風があくまで「通り過ぎていくもの」であるように、ただのわくわくソングではない気がします、これは。そのあたりのちょっとした淋しさも込みで、決して嫌いな曲ではありません。

Tr.02「散歩日和」
 すいません、このCDの中で一番印象の薄いトラックです。「何かが起きる予感を抱いて気ままに歩いている」というイメージは存分に伝わってくるんですが、強烈なインパクトがあるわけではないのでどうしても他のトラックに押されてしまいます。基本的にくらーい曲ばっかりの中で、唯一に近い「希望」を歌った曲なのに(笑)。

 でも「子供の頃には持っていたけど、今はもう忘れていた気持ち」となると個人的にはこれが一番大きいかも。他は……ビビったり逃げたり忘れたりは今も日常茶飯事だからなぁ。

Tr.03「内緒箱の夢」
 唯一「超!アニメロ」で先行公開されていたり、「歌種日和」でワンコーラス流れていたりと、プロモーションで活躍したトラック。この中では最もわかりやすくファンタジー色が強い曲なので、ある意味このCDの顔とも言えるかもしれません。

 基本的に幼さが前面に出ているというか、本来の意味でのファンタジーっぽく仕上げた曲。可愛らしく可愛らしく作ってあるくせに、間奏直前の歌詞一行で一気に暗転の予感を植え付けるあたりはなかなかダイナミックで好きです。見かけに騙されちゃいけないという教訓ですね(笑)。そのあたりも交えて考えるに、私の受けたイメージは「夢の世界……と見せかけた現実逃避」かな?

Tr.04「透明な輪」
 ポエムトラック。他のトラックの詞のように(茶太さんの?)一人称で来るかと思いきや、なんと予想外の三人称ポエムでびっくりしました。残念ながらそれほどビビッと来るものはなかったんですが、しかしこれは未だに具体的なイメージを思い描けません……透明な輪って結局何のことだろう? 「見えない何かの力で同じ場所をぐるぐる回ってしまい出られない」ことの比喩でしょうか?

 ちなみに途中に入っている逆再生ボイスの内容は「ねじれた輪の中 ねじれた輪の中 同じ場所を辿る ドアを開ける度に期待しては 濃い闇に閉ざされた世界を見る どこへ向かうかわからない 不安を抱いたまま」。つまり次のTr.05「神隠し」の歌詞の一部です。ということは世界観が繋がっているのでしょうか。確かに両方とも、「もう戻れない恐怖」を描いてはいますけど。

Tr.05「神隠し」
 このCDにおける最初にして最後のターニングポイント(笑)。Tr.03までほわほわした感じで攻めておきながら、Tr.04で「おや?」と思わせ、そしてこのトラック以降はまさかのダウナー一辺倒! ピンクいジャケットと序盤の試聴でこのCDの購入を決めた人には罠に近い構成ですよ。なんでこんなに暗い感じになっちゃったんだろうか……。

 それでこのトラックですが、伝わるイメージは歌詞の通りに「廃墟の肝試し」。こういう「もう戻れないかもしれない恐怖」は今でもたまに感じますよね(そうか?)。なるべく怖く怖く作ろうとしただけあって、じわじわくる感じが良く出ていると思います。でも白い何かが廊下に落ちてるってのは流石にやりすぎでは……。なんでもないものがそういう風に見えるくらい怖い、というニュアンスなんでしょうが、しかし骨以外に何があるんですか(汗)

Tr.06「ひとこと」
 怖いトラック続きから一転、切ない……というか後悔に満ちた、しかし暖かくてゆったりした曲。こういう後ろ向きに優しい歌はいつもの茶太さんっぽさが出ていて(オイ)個人的に結構好きです。私のこの曲のイメージは「窓辺でため息をつく茶太さん」。ブックレットの柔らかい色合いが最初の方とは違う効果を出していて、後悔と言えどもそれほどキツくない、そこはかとなく甘い痛みのような印象を受けます。まぁ歌詞の隣で茶太さんめっさニコニコ笑ってるんですけど!

Tr.07「黄昏小道」
 イメージは「断片化された夕方の神社の情景」。鳥居だったり、カラスだったり、なぜか視点が斜めだったり、かつ全体的に朧気で不連続的だったり。曲そのものに謎の緊迫感が溢れているせいで、なんだか思い出してはいけない記憶を扱った歌のようにも聞こえてしまいます。

 曲はテンポの速さが心地良くて、このCDの中では移動時のBGMに一番ぴったりだと思います。移動時に聴くようなCDじゃないけど。全体的に和風(中華風?)なのにBPMが速いので、かなり珍しい耳触り。東方っぽいと言えばまあ、「東方妖々夢~Ancient Temple」には少しだけ雰囲気が似てるような気がしないでもない……? ちなみに一応、スレで出ていたようにわざとテンポを落として聴いてはみたものの、やはり私は普通に聴くのが一番という結論に落ち着きました(スレでその手のことを書いたのも私です、すいません)。

Tr.08「うわさ」
 このCDでの山場のひとつ、なのかな? 「黄昏小道」よりさらに速度を上げた感じの曲で、緊迫感もこちらの方が高め。イメージは「誰もいない夜道の電灯」、どう考えてもまんまです(笑)。別に何がいるというわけではなくても、いる「ような気がする」のが怖い。普通は怪談というと「出たー! ギャー!」という「そこに居る」恐ろしさが主流に描かれていますが、どちらかというと我々が実際に感じる恐ろしさはこちらの方ですよね。実体ではなく自分の生み出したイメージに怯える感情。死の恐怖に近いものがあるかもしれません。

 で、曲ですが、何十回と聴いてかなり慣れた今でも、このトラックだけはやはり相当無理をしているように聞こえます。いかにも息が詰まりそうなボーカルで、こちらも聴いていて心臓の動悸が速くなってきそうです(笑)。曲のテーマからいって、演出でわざとやっている部分も多分にあるんだと思いますが……それでも、自分にはあんまり合わないかなーと思う次第です。

Tr.09「不器用な手」
 Tr.04に続くポエムトラック。うーん、ちょっともったいぶった感じのポエムで、個人的にはイマイチでした。やっぱり、茶太さんの個人的な感性がもっと滲み出るような詞の方が感情移入できますね。強いて言うならBOGの詞みたいな印象……と言えば良いでしょうか(BOGに失礼だな!)。ちなみに私の幻視したイメージは「棺桶の中の少女」。それを「ご近所ファンタジー」の一言でくくってしまうことには一抹の恐ろしさを感じてしまいますが……。

Tr.10「咎人の夜明け」
 淋しさ、絶望、後悔、といった負の感情がたらふく詰め込まれたトラック。先のTr.06「ひとこと」も後悔系の曲でしたが、こちらは優しいどころかえぐるように荒々しい後悔がテーマでしょうか。自殺者の心理というかなんというか……。ちなみに私のイメージは「檻の中の小さな窓から夕焼けに浮かび上がる教会の廃墟が見える」。長い上に訳がわかりませんね。しかも夜明けだっつってんのに(笑)。要するに、物理的な閉塞感がすることと、どこか西洋風だということと、ゆっくり終わりに向かって閉じてゆくような印象を受けたということで。

Tr.11「ハッピーエンド」
 タイトルと曲配置から明るいのが来るかと思いきや、思いの他積極的に希望をブチ壊しに来る悪魔のようなトラックでした(笑)。曲も普通に聴いたらまぁそれなりに明るい曲と言えなくもないのに、ネガティブ全開な歌詞のせいでニセモノの明るさが空回りしているような印象を受けます。

 ただ、個人的にはこの曲はかなり異質というか、他のトラックがある特定の場面を歌ったものなのに対し、これだけはもっと抽象的で思索的なトラックであるように感じます。つまり特定のイメージが思い浮かばないんですよねえ。「透明な輪」もそれに近かったけど、こちらはオブジェクトやイメージで代替できない。ファンタジーかどうかと問われれば、「あなたの目指したハッピーエンドは所詮幻想(ファンタジー)に過ぎなかったんだよ」というドス黒い意味でファンタジーと言えなくもないですが……。

Tr.12「君のかけら」
 締めくくりに相応しくまったりと叙情的なバラード。季節柄卒業式ソングっぽくなったとのことですが、どっちかというと「君」が学校どころかこの世から卒業してるっぽいのは一体なんのブラックユーモアなんでしょうか(笑)。いや、まぜっかえす必要もなく普通に良い曲だと思いますけどね。少なくとも私はこのトラックがこのCDで一番のお気に入りです。クセだらけの曲が続いた後だとクセのない曲が清涼剤の役割を果たしてくれて助かります。そのへんも狙ってラストに曲順を決めたんでしょうけど……。

 想像するイメージは歌詞にもある通り、「夕暮れの誰もいない校舎」。普通の授業の後の放課後というよりは、休日にこっそり忍び込んだような感じです。それこそ卒業式の日に学校に一人残って実らなかった恋に涙するとかそんなんでも可かも。私は何を言っているんでしょうか。ただ、この曲、偶然でしょうが「時かけ」の主題歌の「ガーネット」に非常に雰囲気が似ているので、あっちを何度も聴いた後にこっちを聴くとたった一度でなんだか飽きたような感じになってしまうこともあります。不思議です。私は何を言っているんでしょうか。


 以上、こんな感じでした。全体のまとめは最初の方に書いたのでここでは割愛しますが、何はともあれ無事にメジャーデビューを果たしたのは素直に良かったと思います(ずっと「知る人ぞ知るマイナーな歌手」で居てほしかった気持ちもちょっとだけありますが)。茶太さん、下村さん、本当にお疲れ様でした。
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by hpsuke | 2007-05-08 21:29 | 同人音楽
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